宮部 佳也兼松株式会社 代表取締役社長
LEADER 042
LEADER PROFILE

宮部 佳也

Yoshiya Miyabe
兼松株式会社
代表取締役社長

引き継いだ目標は果たし、描いた目標は最終年へ。

宮部 佳也

概要

兼松株式会社の代表取締役社長、宮部佳也氏。2021年6月に就任した。在任は、2026年9月末時点で5年3か月にあたる。

就任の前月、2021年5月に、同社は前任の谷川薫氏のもとで、2024年3月期を最終年度とする6か年の中期ビジョン「future 135」の定量目標を見直していた。当期利益の目標は250億円から200億円へ、ROEの目標は13〜15%から10〜12%へ改めた。宮部氏は、見直した後の目標を、残る3年とともに引き継いだ。

本記事でいう「当期利益」は、同社が国際会計基準(IFRS)で示す「親会社の所有者に帰属する当期利益」で、子会社の少数株主の取り分を除いた、同社の株主に帰属する最終的な利益である。ROEは、この当期利益を、期首と期末の自己資本(親会社の所有者に帰属する持分)の平均で割った値である。総還元性向は、配当と自社株買いの合計を当期利益で割った値である。

future 135 の最終年度、2024年3月期の結果は次のとおりである。

項目当初の目標(2018年5月)見直し後の目標(2021年5月)2024年3月期 実績
当期利益250億円200億円232億円
ROE13〜15%10〜12%16.1%
株主還元配当性向 25〜30%総還元性向 30〜35%32.4%

同社は、見直し後の定量目標をすべて達成したと総括した。当初の当期利益の目標250億円には届いていない。

そのうえで宮部氏は、初めて自ら策定を先導した中期経営計画「integration 1.0」(現在は「integration 1.1」)を2024年4月に公表した。最終年度の2027年3月期の当期利益の目標は350億円である。2年目の2026年3月期の当期利益は325億円で、ROEとROICは目標の水準にある。最終年度の会社予想は、目標と同じ350億円である。

COMPANY
兼松株式会社
SALES
1兆676億6,500万円
EMPLOYEES
8,604名
PRESIDENT SINCE
2021年6月
01

経歴

時期役職
1983年4月兼松江商株式会社 入社
2012年6月取締役、電子・IT部門副担当
2013年4月取締役、車両・航空部門担当
2014年6月執行役員制度拡充に伴い取締役退任、常務執行役員、車両・航空部門長
2018年6月取締役、専務執行役員、車両・航空部門長、大阪支社長、名古屋支店長、先進技術・事業連携担当
2021年6月代表取締役社長
2023年10月代表取締役社長、グループ成長戦略推進担当(現任)

1983年に兼松江商に入社し、電子機器部長を経て、電子・IT部門や車両・航空部門を担当した。2021年6月に社長に就いた。前任の谷川薫氏は、同じ月に代表取締役会長となり、現在は取締役会の議長を務める。2026年6月の株主総会を経て、社長を続けている。

02

会社データ

項目内容
社名兼松株式会社
本店所在地神戸市中央区伊藤町119番地(登記上の本店)。業務は東京本社(東京都千代田区丸の内二丁目7番2号)で行う
上場市場東京証券取引所 プライム市場(証券コード8020)
連結収益1兆677億円(2026年3月期)
営業活動に係る利益487億円(2026年3月期)
連結従業員数8,604人(2026年3月31日現在)

同社は、資源の権益を持たない「非資源100%」を掲げる商社である。事業区分は、ICTソリューション、電子・デバイス、食料、鉄鋼・素材・プラント、車両・航空の5つである。営業活動に係る利益は、同社がIFRSで示す本業の利益で、日本の会計基準の営業利益とは計算の範囲が同じではない。

03

人物の軌跡

答え合わせ①:就任の前月、目標は見直されていた

future 135 は、2019年3月期から2024年3月期までの6か年の中期ビジョンである。同社の2021年5月の資料は、「当初(18年5月)に掲げた最終年度(24年3月期)目標」を、当期利益250億円、ROE13〜15%、配当性向25〜30%と記している。2018年5月当時の社長は谷川薫氏である。

2021年5月13日、同社は前半3年を総括し、後半3年の定量目標を見直した。理由には「事業投資や収益成長の進捗を勘案し」と記し、前半3年については「新型コロナウイルス感染症拡大の影響が事業投資の進捗にも及ぶ」と書いている。この日の説明会の登壇者は代表取締役社長の谷川薫氏で、宮部氏は取締役専務執行役員として同席していた。

指標当初の目標見直し後の目標2022年3月期の会社予想(2021年5月時点)
当期利益250億円200億円150億円
ROE13〜15%10〜12%10.4%
株主還元25〜30%(配当性向)30〜35%(総還元性向)33.4%

宮部氏が社長に就いたのは、その翌月である。

答え合わせ②:引き継いだ3年で、見直し後の目標をすべて達成した

宮部氏の在任と重なる future 135 の後半3年の当期利益は、次のとおりである。

決算期期初の会社予想当期利益 実績ROE
2022年3月期(就任1年目)150億円160億円10.5%
2023年3月期180億円(中間で190億円に引き上げ)186億円12.9%
2024年3月期(最終年度)235億円232億円16.1%

2024年3月期の当期利益232億円は、見直し後の目標200億円を上回った。ROE16.1%は、見直し後の目標(10〜12%)に加え、当初の目標(13〜15%)も上回った。総還元性向は32.4%で、目標の30〜35%の範囲に入った。統合報告書2024は、future 135 の振り返りの見出しに「見直し後のすべての定量目標を達成」と記している。

当初の当期利益の目標250億円には、18億円届いていない(編集部算出)。2024年3月期の期初の会社予想は235億円だった。

宮部氏は、統合報告書2024の社長メッセージで、次のように総括している。

前中期経営ビジョンの「future 135」では、掲げていた財務目標を達成し、グループ一体経営の土台を築くことができました。

ここでいう財務目標は、2021年5月に見直した後の目標である。

答え合わせ③:最終年度の増益には、完全子会社化の効果が含まれる

2023年、同社は子会社の兼松エレクトロニクスと兼松サステックを、株式の公開買付けによって完全子会社にした。2024年3月期の期初の予想について、同社の資料は「兼松エレクトロニクスおよび兼松サステックの完全子会社化の影響などにより、当期利益は前期比26.5%増益の235億円」と記していた。

2024年3月期の実績では、当期利益(親会社の株主に帰属する分)は186億円から232億円へ46億円増えた。一方、少数株主の取り分を含めたグループ全体の当期利益は、247億円から246億円とほぼ横ばいだった。2社の利益のうち、少数株主に帰属していた分が同社の株主に帰属する分に移ったことが、増益に寄与したと読める(編集部の読み。同社は押し上げ額の内訳を示しておらず、増益に占める割合は確認できない)。

同社の資料は、完全子会社化の影響などで自己資本が前期比310億円減り、ネット有利子負債が967億円増えたと記している。自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は2023年3月末に19.0%まで下がった。その後、2026年3月末には28.4%に戻っている。

答え合わせ④:初めて、自ら計画の策定を先導した

2024年4月16日、同社は2025年3月期から2027年3月期までの3か年の中期経営計画「integration 1.0」を公表した。説明資料の表紙に発表者の名前はないが、同日の説明会の登壇者には代表取締役社長の宮部氏が名を連ねている。宮部氏は、統合報告書2024の社長メッセージで次のように書いた。

社長に就任して4年目となります。今回初めて、中期経営計画の策定を先導しました。

最終年度の財務目標は、次の4つである。

指標2024年3月期(策定の起点)2027年3月期 目標
当期利益232億円350億円
ROE16.1%16〜18%程度
ROIC6.4%8%以上
ネットDER1.00倍1.0倍程度

ROICは、同社の定義では当期利益を投下資本で割った値である。ネットDERは、ネット有利子負債を自己資本で割った値で、借入れの重さを示す。

資本配分の計画では、3年間で成長投資600億円を置き、そのうち約400億円をICTを中心とするDX関連に充てるとした。計画の名前の「1.0」について、宮部氏は次のように説明している。

「1.0」はこの変化の激しい時代における外部環境に合わせて、経営計画もフレキシブルにバージョンアップしていきたいという思いからです。

2025年8月、同社はMission・Vision・Values(MVV)の策定にあわせて計画を「integration 1.1」に更新した。同社は「中期経営計画の基本的な枠組みや目標を変更するものではなく」と説明している。

答え合わせ⑤:2年で当期利益325億円、ROEとROICは目標の水準

integration の2年間の結果は、次のとおりである。

指標2027年3月期 目標2025年3月期2026年3月期
当期利益350億円275億円325億円
ROE16〜18%程度16.5%17.0%
ROIC8%以上7.6%9.1%
ネットDER1.0倍程度0.69倍0.45倍

2026年3月期の当期利益325億円は、最終年度の目標350億円の92.9%にあたる(編集部算出)。同社の決算資料は、ROEとROICについて「ともに中期経営計画の目標水準(ROE16~18%、ROIC8%以上)で推移」と記している。当期利益は、1年目は期初の予想250億円を中間期に270億円へ引き上げて275億円、2年目は予想300億円に対して325億円で着地した。

1年目について、宮部氏は統合報告書2025で次のように書いている。

2025年3月期、財務目標である当期利益は275億円と初年度目標値を達成し、過去最高益を更新しました。最終年度の目標350億円に向けて、基盤を固め、着実な一歩を踏み出せたと考えています。

一方、2026年3月期の収益は1兆677億円で期初の予想1兆1,000億円に、営業活動に係る利益は487億円で期初の予想500億円に、それぞれ届かなかった。2025年3月期の営業活動に係る利益は、のれんの減損損失などで、前の年の439億円から421億円に減っている。

答え合わせ⑥:増益の中心は、電子・デバイスと食料だった

事業区分ごとの当期利益は、次のとおりである。

事業区分2024年3月期2026年3月期2年間の増減(編集部算出)
ICTソリューション93億円103億円+10億円
電子・デバイス53億円109億円+56億円
食料35億円54億円+19億円
鉄鋼・素材・プラント19億円25億円+6億円
車両・航空30億円35億円+5億円
合計(その他を含む)232億円325億円+93億円

2024年3月期は、2024年4月に改めた現在の事業区分に組み替えた後の値である。2年間の増益93億円のうち、電子・デバイスが56億円、食料が19億円を占めた。同社の資料は、電子・デバイスの2026年3月期の増益について、モバイル事業で「販路拡大の効果もあり販売台数が増加」、電子機器・電子材料事業で「M&Aの効果などにより、のれんの減損損失を計上した前期比で増益」と、前の年の減損損失との比較であることを添えて記し、食料では「飲料原料を中心とした取引が好調」「鶏肉取引が順調」などと記している。

2026年3月期には、国内の鉄鋼子会社の売却益と、エネルギー事業での原油高に伴う先物取引の評価損を計上した。どちらも金額は開示されていない。

答え合わせ⑦:成長投資は、2年で計画の半分を下回った

integration が成長投資の中心に置いたICT・DX関連の投資は、計画より遅れている。宮部氏は、統合報告書2026の社長メッセージで次のように書いている。

ICT・DXを中心とする成長投資は、2年間の実行額が「integration 1.1」3ヵ年計画の半分を下回りました。ICT関連の投資が総じて高騰している事情もありますが、計画の数字を追いかけること自体を目的にはしませんでした。

慎重さは手放しませんが、見極めにかける時間と、決めた後の実行の速さは別ものです。後者は、確実に上げていきます。

会社が公表した2026年5月の説明会の質疑要旨によると、財務担当の取締役は、ICT関連の投資は目線の400億円に対して実行額が20億円程度にとどまり、計画より遅れていると説明した。そのうえで、モバイルや食料などの既存事業の収益が中計の策定時の想定より大きく伸び、投資による成長として想定していた分を補っているとした。同じ要旨によると、宮部氏は、条件に見合う案件があれば、当初の400億円の枠にとらわれずに投資することも選択肢として想定していると答えている。

ネットDERが目標の1.0倍程度を下回る0.45倍であることについても、同じ要旨によると、財務担当の取締役は、投資の実行の遅れが一時的に財務の状態を改善させた結果と説明している。

答え合わせ⑧:最終年度は、目標どおりの予想で始まった

2026年5月、同社は2027年3月期の当期利益の予想を「中期経営計画最終年度の目標通りの350億円」とした。会社が公表した質疑要旨によると、宮部氏は、この予想は中計の目標の350億円をベースとした計画で、進捗や外部環境の変化を見極めながら、必要に応じて修正していく考えを示している。

2026年4〜6月の第1四半期は、当期利益にあたる四半期利益が117億円(前年同期比67.6%増)、営業活動に係る利益が174億円(同63.8%増)だった(増減率は編集部算出)。通期の予想350億円に対する進捗率は33.4%である。同社は通期の予想を据え置いた。理由として、為替・先物の評価益や航空機部品の納入の前倒しといった要因が含まれていることや、エネルギー事業の先行きの不透明さを挙げている。

成長投資の累計の実行額は、2026年6月末時点で約260億円となった。計画の600億円の約43%にあたる(編集部算出)。9月には、株式会社IDAJとその子会社などの株式を取得し、連結子会社にすると公表している。

最終年度の確定値は、2027年3月期の通期決算の発表で示される。

04

経営哲学

数字を、あえて厳しく捉える

2026年3月期の当期利益325億円について、宮部氏は統合報告書2026で次のように書いている。

2026年3月期の過去最高益更新は、社員一人ひとりの努力の積み重ねであり、中期経営計画「integration 1.1」で築いた構造が実を結び始めた証だと受け止めています。

そのうえで、私はこの数字を、あえて厳しく捉えています。ここまでの成長の多くは、いま手元にある強みの組み合わせから生まれたものです。その掛け合わせだけでは、いずれ天井が見えてきます。

同じメッセージで、宮部氏は「足元の現実」を二つ挙げた。一つは株価の評価、もう一つは前述の投資の実行である。

一つは、高い資本効率が株価の評価に十分結びついていないという「ねじれ」です。

「皆でやろう」で、計画をつくる

統合報告書2024で、宮部氏は自らのリーダーシップを次のように説明している。

東京の下町生まれの私は、自身を民主型リーダーシップタイプだと思っています。

「俺について来い」ではなく、「皆でやろう」というタイプです。そのため、今回の中計策定にあたっても、まずは国内外の社内ヒアリングからスタートしました。

統合報告書2026では、自社の課題も挙げている。

計画を練り込むあまり、最初の一歩が出ない。PDCAが“P(計画)”で止まることが、正直、少なくありません。

数字の先にあるもの

会社サイトの社長メッセージ(2026年5月)で、宮部氏は最終年度について次のように書いている。

現在、兼松グループは中期経営計画の最終年度にあり、目標に向かって順調に成長しています。しかし、私たちが見据えているのは数字の達成だけではありません。

次の計画については、統合報告書2026で次の指標を挙げた。

これから私が正面に掲げたいのは、社員一人当たりの創出価値(≒利益)を、着実に高め続けることです。

2026年4月の入社式では、新入社員に次のように伝えている。

それは、「やり抜くこと」です。自分がこれと決めたら「やり抜く」ために行動し続けることです。

05

人物像

リーダーシップタイプ

民主型・自己点検型。本人は自らを「民主型リーダーシップタイプ」と呼び、社内のヒアリングから計画づくりを始めた。引き継いだ計画では見直し後の目標をすべて達成し、自ら策定した計画では2年で当期利益を目標の9割超に伸ばした。そのうえで、伸びた数字を「あえて厳しく」捉え、計画どおりに進まなかった投資についても、自らの言葉で説明している。

強み・特徴(編集部分析)

1. 引き継いだ目標を、残りの3年で達成した

就任の前月に見直された future 135 の定量目標3項目を、2024年3月期にすべて達成した。ROEは当初の目標の13〜15%も上回る16.1%だった。

2. 自ら描いた計画で、利益と資本効率を伸ばした

integration の2年間で、当期利益は232億円から325億円に、ROICは6.4%から9.1%に上がった。ROEとROICは、最終年度を待たずに目標の水準にある。

3. 進まなかったことも、自ら書く

ICT・DXを中心とする成長投資の実行額が計画の半分を下回ったことを、統合報告書2026の社長メッセージで自ら記した。自社の課題についても「PDCAが“P(計画)”で止まることが、正直、少なくありません」と書いている。

4. 計画を、状況に応じて更新する前提でつくる

計画名の「1.0」には、外部環境に合わせて計画を「フレキシブルにバージョンアップ」する意図を込めた。2025年8月には、目標を変えずに「integration 1.1」へ更新した。

発言・記載と実績の対応

発言・記載出典実績
「掲げていた財務目標を達成し」統合報告書2024 社長メッセージ見直し後の目標3項目を達成(232億円・16.1%・32.4%)。当初の目標250億円には届かず
「今回初めて、中期経営計画の策定を先導しました」統合報告書2024 社長メッセージintegration 1.0 を2024年4月に公表。最終年度の当期利益目標350億円
「初年度目標値を達成し」統合報告書2025 社長メッセージ2025年3月期 当期利益275億円(期初予想250億円、中間で270億円に引き上げ)
「この数字を、あえて厳しく捉えています」統合報告書2026 社長メッセージ2026年3月期 当期利益325億円(目標の92.9%)。ROE17.0%、ROIC9.1%
「2年間の実行額が「integration 1.1」3ヵ年計画の半分を下回りました」統合報告書2026 社長メッセージ2年間の実行額は計画の半分未満。その後、2026年6月末の累計は約260億円(計画600億円)
「中期経営計画の最終年度にあり、目標に向かって順調に成長しています」会社サイト 社長メッセージ(2026年5月)2027年3月期 会社予想350億円。第1四半期の進捗率33.4%、予想は据え置き
06

編集部総評

宮部氏は、前任の谷川薫氏のもとで就任の前月に見直された future 135 の目標を、残る3年とともに引き継いだ。2024年3月期の当期利益232億円、ROE16.1%、総還元性向32.4%で、見直し後の定量目標はすべて達成した。ROEは当初の目標も上回った。当初の当期利益の目標250億円には届いておらず、最終年度の増益には、子会社2社の完全子会社化の効果が含まれる。

初めて自ら策定を先導した integration では、2年目に当期利益325億円、ROE17.0%、ROIC9.1%となった。ROEとROICは目標の水準にあり、最終年度の会社予想は目標どおりの350億円である。一方で、計画の柱としたICT関連の投資は遅れた。会社が公表した質疑要旨によると、財務担当の取締役は、モバイルや食料などの既存事業の伸びが投資の遅れを補っていると説明している。2026年3月期は、収益と営業活動に係る利益が期初の予想に届かなかった。宮部氏は、投資の遅れを自ら記し、伸びた数字も「あえて厳しく捉えています」と書いている。

最終年度の2027年3月期は進行中で、目標350億円に届くかの答えは、2027年3月期の通期決算で出る。そのうえで、次の計画が「社員一人当たりの創出価値」をどう示すかが、その後の答え合わせの材料になる。

今後の焦点として読み取れる点

  • 2027年3月期の当期利益の会社予想350億円。第1四半期の進捗率は33.4%で、予想は据え置き
  • ROEとROICの水準。2027年3月期の会社予想のROE・ROICは、決算説明資料に数値の記載が見当たらない
  • 成長投資600億円の実行。2026年6月末の累計は約260億円。2026年9月に公表したIDAJの子会社化
  • 次の中期経営計画。2026年10月1日時点で未公表。本人は海外と「社員一人当たりの創出価値」を主題に挙げている
  • 株価の評価。本人が「ねじれ」と呼んだ、資本効率と株価の評価の差
  • 株主還元。年間配当の下限を設けた累進配当(下限90円は2026年1月の株式分割の前の額)と、総還元性向30〜35%の方針

参考情報

出典

  • 有価証券報告書 第132期(2026年3月期・2026年6月22日提出・主要な経営指標等の推移は2/184ページ、経営方針と定量目標は13〜14/184ページ、役員の状況は53/184ページ、連結損益計算書は76/184ページ、セグメント情報は95/184ページ)

`https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100YGCZ.pdf`

  • 2021年3月期 決算説明資料・質疑応答要旨(2021年5月13日。future 135 の前半3年の総括と定量目標の見直し)

`https://d11k6pweekc5r2.cloudfront.net/4fc335af47b5f95e26a8020ed3401146/article/855/ja/custom_field/202103_4Q_Overview_of_results_jp.pdf`

  • 2022年3月期 決算説明資料(2022年5月19日)・同 中間期の決算説明資料
  • 2023年3月期 決算説明資料(2023年5月18日)・同 中間期の決算説明資料
  • 2024年3月期 決算説明資料(2024年5月15日。future 135 の目標の達成状況)

`https://d11k6pweekc5r2.cloudfront.net/4fc335af47b5f95e26a8020ed3401146/article/1098/ja/custom_field/202403_4Q_kessansetumeikai_jp.pdf`

  • 中期経営計画「integration 1.0」説明資料・質疑応答要旨(2024年4月16日)

`https://d11k6pweekc5r2.cloudfront.net/4fc335af47b5f95e26a8020ed3401146/common/assets/pdf/ir/shareholders/integration/20240416_integration_1.0_setsumeikaisiryo_jp.pdf`

  • 「integration 1.1」へのアップデートに関するお知らせ(2025年8月15日)

`https://www.kanematsu.co.jp/press/release/20250815_release`

  • 2025年3月期 決算説明資料(2025年5月15日)・同 中間期の決算説明資料
  • 2026年3月期 中間期の決算説明資料
  • 2026年3月期 決算説明資料(2026年5月18日)・質疑応答要旨(2026年6月2日公表)

`https://d11k6pweekc5r2.cloudfront.net/4fc335af47b5f95e26a8020ed3401146/article/1487/ja/custom_field/202603_4Q_Financial_Results_jp.pdf`

  • 2027年3月期 第1四半期 よくある質問と回答(2026年8月4日)

`https://d11k6pweekc5r2.cloudfront.net/4fc335af47b5f95e26a8020ed3401146/article/1502/ja/custom_field/202703_1Q_FAQ_jp.pdf`

  • 統合報告書2023・2024・2025・2026「社長メッセージ」

`https://www.kanematsu.co.jp/integrated_report/IR2026_2`

  • 社長メッセージ(兼松 ウェブサイト・2026年5月)

`https://www.kanematsu.co.jp/company/message`

  • 2026年度入社式 社長挨拶(2026年4月1日)

`https://www.kanematsu.co.jp/press/release/20260401_release_2`

  • 役員の異動に関するお知らせ(2026年3月31日)

`https://www.kanematsu.co.jp/press/release/20260331_release`

  • 役員一覧(兼松 ウェブサイト・2026年6月25日現在)

`https://www.kanematsu.co.jp/company/officer`

注記

  • 本記事は、兼松株式会社が公表した資料に記載された数値と文章のみに基づいて構成しています。取材は行っていません
  • 同社の決算期は3月です。本記事は「2026年3月期」のように決算期で表記しています。同社の資料の「27/3月期」は2027年3月期にあたります
  • 同社はIFRS(国際会計基準)を採用しています。「当期利益」は親会社の所有者に帰属する当期利益です。少数株主の取り分を含めた「当期利益」と区別するため、後者は「グループ全体の当期利益」と書いています
  • future 135 の当初の目標と見直し後の目標は、2021年3月期の決算説明資料(2021年5月13日)の記載です。2024年3月期の実績は、2024年3月期の決算説明資料(2024年5月15日)と統合報告書2024の記載です。integration 1.0 の説明資料(2024年4月16日)は決算の確定前のため「見通し」の値(当期利益235億円、ROE17.2%、総還元性向32.0%)を載せていますが、本記事は確定値を使っています
  • 業績の推移の当期利益・ROE・収益は有価証券報告書 第132期の「主要な経営指標等の推移」、ROICは2026年3月期の決算説明資料、ネットDERは各期の決算説明資料の数値です。億円の表記は、同社の資料の表記に合わせています
  • 事業区分ごとの当期利益は、同社の決算説明資料の記載です。2024年3月期は現在の事業区分に組み替えた後の値です
  • 第1四半期の数値は、同社の決算短信の数値(百万円。データ提供サービス経由で確認)を億円未満で四捨五入したものです
  • 「18億円届いていない」「92.9%」「2年間の増減」「67.6%増」「63.8%増」「33.4%」「約43%」は、編集部が算出しました
  • 2024年3月期の増益に占める完全子会社化の効果は、グループ全体の当期利益と親会社の株主に帰属する当期利益の動きの差から編集部が読み取ったもので、同社は内訳を示していません
  • 2022〜2026年3月期の第3四半期時点での業績予想の修正の有無は、確認していません
  • 1株当たりの配当の下限90円は、2026年1月1日の株式分割(1株を2株)の前の額です
  • 引用した本人の言葉は、統合報告書2024・2025・2026の社長メッセージ(署名「代表取締役社長 宮部佳也」)、会社サイトの社長メッセージ、2026年度入社式の社長挨拶からのものです
  • 会社が作成した質疑応答の要旨(「一部内容を加筆修正し、要旨として記載」と明記)は、宮部氏の発言として引用せず、要旨として紹介しています。回答者名のない質疑や、他の役員の回答は、宮部氏の発言として扱っていません
  • 決算説明資料と統合報告書の会社の記載は、会社の記載として掲載しています
  • PDFからの抽出では、行の境目や記号・数字の前後に空白・改行が入り、段組みの文章が交互に混ざります。引用は、段組みの順に並べ直し、空白と改行を詰めて掲載しています。全角・半角の表記は原文どおりです
  • 引用はすべて原資料からの複写であり、原文との一致を機械的に照合しています