秋山 昌之ファーマライズホールディングス株式会社 代表取締役社長
LEADER 018
LEADER PROFILE

秋山 昌之

Masayuki Akiyama
ファーマライズホールディングス株式会社
代表取締役社長

黒字に、戻した。

秋山 昌之

概要

2025年8月22日、ファーマライズホールディングスの株主通信に、代表取締役社長・秋山昌之氏の署名でこう書かれています。

特に初年度に当たる令和8年5月期は、当社グループの経営者及び従業員がMVVを共有し一体となり、筋肉質の組織体制を作り上げ、次の50周年に向けてジャンプアップする足場固めの期間にしたいと考えております。

この一文が書かれた時点で、同社は2期続けて最終赤字を出していました。直前に終わった2025年5月期(第39期)の親会社株主に帰属する当期純損失は3億6,700万円、その前の期も3億5,100万円の損失です。売上高は516億円(2022年5月期)から635億円へ伸びていた一方、営業利益は2025年5月期に2億9,300万円まで下がっていました。

編集部が注目したのは、この状況で秋山氏が「成長」ではなく「足場固め」という言葉を選んでいることです。同社が2025年6月25日に公表した中期経営計画の名称は「Make a Leap 2027 足場を固め、さらなる飛躍へ」。跳ぶ前に足元を固める、という順序が計画名そのものに入っています。

そして、その1年が終わりました。2026年8月20日に提出された第40期有価証券報告書によると、2026年5月期の業績は売上高695億1,200万円(前期比9.5%増)、営業利益9億7,900万円(同233.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1億1,400万円で、3期ぶりの黒字となりました。

編集部が検証したのは、「足場固め」と本人が呼んだ1年で、何が固まり、何が残ったのかです。結論を先に書きます。会社が期初に立てた計画に対して、売上高は104.1%で計画を超え、営業利益は87.2%、当期純利益は43.0%で計画に届きませんでした。同じ1年の中で、上の行と下の行が逆の結果になっています。

しかも、売上高が計画を超えた理由には、事業の伸びとは別の要因が含まれていました。何が起きていたのかを、公開資料でたどります。

COMPANY
ファーマライズホールディングス株式会社
SALES
695億1,200万円
EMPLOYEES
2,411名
PRESIDENT SINCE
2018年8月
01

経歴

プロフィール

項目内容
氏名秋山 昌之(あきやま まさゆき)
生年1967年2月16日
役職ファーマライズホールディングス株式会社 代表取締役社長
社長就任2018年8月(在任8年)
兼務GOOD AID株式会社 代表取締役社長、ファーマライズ株式会社 取締役、株式会社ケミスト 取締役、株式会社寿データバンク 取締役、株式会社ヘルシーワーク 取締役、株式会社ミュートス 取締役
所有株式数56,320株

※第40期有価証券報告書(2026年8月20日提出)の「役員の状況」に基づきます。読みは上場企業役員データベースの記載により、生年月日の一致を確認しました。

経歴

時期内容
1995年4月有限会社協和静岡 入社
1995年7月同社 代表取締役社長就任
1997年2月合併により当社取締役就任
2005年3月日本薬物動態研究所 所長就任
2006年7月ファーマライズ医薬情報研究所 所長就任
2009年6月ファーマライズ株式会社をファーマライズホールディングス株式会社に商号変更、新設分割によりファーマライズ株式会社を設立、同時に専務取締役就任
2009年9月ファーマライズ株式会社 代表取締役社長就任
2010年8月当社 専務取締役就任
2014年3月株式会社鬼怒川調剤センター 代表取締役社長就任
2016年8月ファーマライズプラス株式会社 代表取締役社長就任
2018年8月当社 代表取締役社長就任(現任)
2024年1月GOOD AID株式会社 代表取締役社長就任(現任)

※同有価証券報告書の略歴を和暦から西暦に変換して掲載しました。

02

会社データ

項目内容
社名ファーマライズホールディングス株式会社
設立1984年6月
本社東京都中野区中央一丁目38番1号
上場市場東京証券取引所 スタンダード市場(証券コード2796)
決算期5月31日
資本金19億6,100万円
連結従業員数2,411名(非常勤を含む)
事業内容持株会社体制による調剤薬局の経営
店舗数446店舗(連結子会社ベース)

※公式サイトの「基本情報」(2026年5月31日現在)に基づきます。なお有価証券報告書に記載された調剤薬局の店舗数は406店舗で、集計の範囲が異なります。

03

人物の軌跡

静岡の薬局の社長から、合併で本体の取締役へ

秋山氏の経歴は、自分が社長を務めていた会社が合併したところから始まっています。1995年に有限会社協和静岡へ入社し、同年7月に同社の代表取締役社長に就任。1997年2月、合併によって同社(現在のファーマライズホールディングス)の取締役になりました。29歳から30歳にかけての時期です。

その後、研究部門の責任者を務めています。2005年3月に日本薬物動態研究所の所長、2006年7月にファーマライズ医薬情報研究所の所長に就任しました。編集部が着目したのは、この研究所が同社の事業と直結していたことです。同社は2007年3月に「後発医薬品推奨リスト」の初版を発行しており、公式サイトの沿革には、この研究所が独自基準で推奨後発医薬品を選定していたと記されています。

当時、後発医薬品使用促進には「不安感の解消」が重要であり、ファーマライズ医薬情報研究所において独自基準により「推奨後発医薬品」を選定し、それらを取り扱うことにより患者のみならず薬剤師の不安感の解消を意図しました。なお後発医薬品使用促進に係る調剤報酬は3年後の平成22年4月に導入されました。

編集部では、この経歴を「制度が来る前に現場の型を作る側にいた」と読みました。会社自身が、報酬制度の導入は取り組みの3年後だったと書いています。

持株会社化と同時に、事業会社の社長へ

2009年6月、同社は持株会社体制へ移行します。公式サイトの記載では、上場しているチェーン調剤会社では初めての持株会社化でした。秋山氏はこのとき持株会社の専務取締役に就き、同年9月には事業会社であるファーマライズ株式会社の代表取締役社長に就任しています。

2018年8月、持株会社の代表取締役社長に就任しました。創業者である大野利美知氏は2016年8月に代表取締役会長へ移っており、秋山氏は創業家以外から社長に就いた形です。現在も大野利美知氏が取締役会長、大野小夜子氏が取締役副会長を務めています。

買収した会社の社長を、自分で務めている

秋山氏の現在の兼務のうち、編集部が最も注目したのはGOOD AID株式会社です。同社は2024年1月にファーマライズグループに入った38店舗の会社で、秋山氏はグループ入りと同じ2024年1月に、その代表取締役社長に就任しています。

買収を実行した側の社長が、買収先の社長を自ら引き受けている構図です。後述する中期経営計画では、買収後の統合作業(PMI)の早期完遂が最大の課題に置かれています。編集部では、この兼務をその課題への向き合い方の一つと考えました。ただし、兼務の理由について会社の説明は確認できていません。

04

経営哲学

秋山氏が「足場固めの期間にしたい」と書いた1年を、4つの角度から照らし合わせます。対象は2026年5月期(第40期・2025年6月1日から2026年5月31日)です。

答え合わせ①:「筋肉質の組織体制」——3期ぶりの黒字に戻った

まず、5期の推移です。

決算期売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益
2022年5月期516億800万円—15億1,700万円4億4,700万円
2023年5月期520億3,000万円—14億3,100万円3億3,300万円
2024年5月期544億6,600万円9億1,600万円8億3,300万円△3億5,100万円
2025年5月期635億800万円2億9,300万円1億3,600万円△3億6,700万円
2026年5月期695億1,200万円9億7,900万円7億1,500万円1億1,400万円

※売上高・経常利益・当期純利益は第40期有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」。営業利益は同報告書の主要指標に含まれないため、株主通信および決算説明資料の記載を用いました。2022年5月期・2023年5月期の営業利益は、今回参照した資料では確認できていません。

表に並べた5期では、売上高が毎期増えています。一方で当期純利益は2024年5月期に赤字へ転じ、2期続きました。2026年5月期はこの流れが変わり、営業利益が2億9,300万円から9億7,900万円へ、当期純利益が3期ぶりの黒字になりました。自己資本利益率も△5.3%から1.7%へ戻っています。

事業の中心である調剤薬局事業でも同じ動きが出ています。

決算期調剤薬局事業 売上高調剤薬局事業 営業利益
2024年5月期441億7,800万円10億9,600万円
2025年5月期526億2,500万円5億7,800万円
2026年5月期593億3,100万円(12.7%増)13億8,600万円(139.8%増)

※令和8年5月期決算説明資料(2026年7月9日)および有価証券報告書の記載に基づきます。

有価証券報告書は、利益が改善した要因をこう説明しています。

利益面につきましても、調剤薬局事業における収益性改善に加え、既存店舗及び取得店舗の寄与、グループ全体における本部業務の効率化による販管費の低減等により増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益においても黒字転換となりました。

編集部では、「本部業務の効率化による販管費の低減」という説明が、秋山氏の書いた「筋肉質の組織体制」に対応する部分だと考えました。店舗を増やしながら本部の費用を抑える形で、利益率が戻っています。

答え合わせ②:会社の計画との照合——売上は超え、利益は届かなかった

同社は期初に立てた計画と実績の差を開示しています。2026年6月25日、決算発表と同じ日に「令和8年5月期通期連結業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」を公表しました。代表者名は代表取締役社長 秋山昌之氏です。

項目前回発表予想(A)実績値(B)増減額(B−A)増減率
売上高667億9,500万円695億1,200万円27億1,700万円4.1%
営業利益11億2,300万円9億7,900万円△1億4,300万円△12.8%
経常利益9億4,100万円7億1,500万円△2億2,500万円△24.0%
親会社株主に帰属する当期純利益2億6,600万円1億1,400万円△1億5,100万円△57.0%

※同お知らせの記載をそのまま掲載しました。決算説明資料では計画に対する達成率が売上高104.1%、営業利益87.2%、経常利益76.0%、当期純利益43.0%と示されています。

この予想は、期中に一度も修正されていません。編集部が第1四半期(2025年9月25日)、中間期(2025年12月25日)、第3四半期(2026年3月19日)の決算短信を確認したところ、いずれも「直近に公表されている業績予想からの修正の有無:無」と記載され、中間期には次のように明記されています。

令和7年6月25日付の決算短信で公表いたしました令和8年5月期の連結業績予想に変更はございません。

編集部が着目したのは、この計画が新しい中期経営計画と同じ日に公表されていることです。2025年6月25日、同社は「Make a Leap 2027」と、初年度の業績予想を同時に出しました。掲げた初年度の数字を1年間動かさずに走り、期末に自分でその差を開示した形になります。

答え合わせ③:売上が計画を超えた理由——事業の伸びだけではない

編集部が最も慎重に読んだのは、売上高が計画を上回った理由です。差異のお知らせは、その理由をこう説明しています。

調剤薬局事業においては、医療機関における処方日数長期化の影響により、処方せん応需枚数は当初予想を下回ったものの、処方せん単価が予想を上回ったことに加え、当社連結子会社であるGOOD AID株式会社及びnext PH株式会社の決算期を3月から5月に変更し、14 カ月間の連結を行ったことから、売上高は前回予想を上回りました。

ここには3つのことが書かれています。受け付けた処方せんの枚数は計画を下回った、1枚あたりの単価は計画を上回った、そして子会社2社の決算期変更により14か月分が連結された、という内容です。

編集部では、この3つ目を特に重く見ました。同社の中期経営計画は、成長戦略の柱に「応需処方せん枚数増加に向けた取組の徹底」を置いています。計画が増やそうとしていた枚数は計画を下回り、超過分には期間の長さの違いが含まれていることになります。決算期の変更による14か月連結は、有価証券報告書と株主通信にも同じ内容が記載されています。

利益が計画に届かなかった理由も、同じお知らせに書かれています。

一方、利益面については、調剤薬局事業において処方せん1枚当たりの薬剤料売上高の増加にともなう租税公課の増加に加え、M&A関連費用の発生により販管費が増加したことで、若干の未達となりました。また、物販事業及びその他事業(有料職業紹介、訪問看護)において業績が当初予想を下回りました。

これらの結果、営業利益は当初予想を下回り、営業外費用として、M&Aに関する資金調達にともなう金融費用が増加したこともあり、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益についても当初予想を下回りました。

編集部では、この説明を「買収に関する費用と、取得した店舗の寄与が、同じ期に現れた」と読みました。買収に関する費用が販管費を、資金調達に伴う金融費用が営業外費用を押し上げています。一方で、取得した店舗が売上と利益に寄与したことは、有価証券報告書が増益の要因として挙げています。ただし、費用が発生した案件と、寄与した店舗が同じ買収によるものかどうかは、開示された資料では特定できません。

なお、期中に取得した会社は株式会社三幸メディカルグループです。2026年1月30日に公表し、同年2月13日にグループ入りしました。医薬品卸売業を営む会社で、これにより調剤薬局の店舗数が16店舗増えています。

答え合わせ④:目標そのものが設定し直されている

秋山氏は、新しい計画を作った経緯についてこう書いています。(2025年8月22日・株主通信)

この中期経営計画における定性及び定量目標の結果を振り返った上で、課題・解決策を具体的かつ明確にした新たな「中期経営計画~Make a Leap 2027 足場を固め、さらなる飛躍へ~」を策定し、令和7年6月25日に公表しました。

編集部が調べたのは、「振り返った」対象である前の計画の中身です。前の計画は2021年12月24日に公表された「中期経営計画LSG(Leading to Sustainable Growth)2024 ~成長を目指した経営基盤の構築」で、最終年度は2025年5月期でした。第37期有価証券報告書には、その目標がこう記載されています。

中期経営計画の最終年度となる令和7年(2025年)5月期における目標とする経営指標(連結ベース)は以下の通りです。

・営業利益 25億円

・ROIC 7.9%

その2025年5月期の営業利益は2億9,300万円でした。中期経営計画の資料では、同期のROICは△0.4%と示されています。

新しい計画の目標は、次のとおりです。

項目前計画の目標<br>(2025年5月期)前計画の実績<br>(2025年5月期)新計画の目標<br>(2028年5月期)
売上高(記載なし)635億800万円700億円
営業利益25億円2億9,300万円16億円
当期純利益(記載なし)△3億6,700万円7億円
ROIC7.9%△0.4%4.5%

※前計画の目標は第37期有価証券報告書、新計画の目標は第40期有価証券報告書および中期経営計画の資料(2025年6月25日)に基づきます。

編集部が着目したのは、営業利益の目標が25億円から16億円へ、期限を3年後ろにずらして設定されている点です。同社は、その背景を計画の資料で自ら説明しています。

前中計策定時には存在しなかった 300店舗以上のチェーングループを対象とする調剤報酬引き下げのルール導入 や仕入環境の継続的な変動により、利益水準が低下しました

この説明は、同社が計画期間中に300店舗を超えたことと重なります。同じ資料の店舗数の推移では、2023年5月期末の350店舗から、GOOD AIDのグループ入りで400店舗、旧寛一商店グループの加入で449店舗へと増えています。規模を拡大したことで、規模に応じて報酬が下がる仕組みの対象になったという構造です。

編集部では、この点を「計画の前提が期間中に変わった例」と考えました。制度の導入時期について会社は「前中計策定時には存在しなかった」と明記しており、目標を掲げた時点では織り込めない条件だったことになります。

そして新しい計画の売上高700億円には、注記が付いています。

※M&Aを前提としないオーガニックでの目標値

2026年5月期の売上高695億1,200万円は、この700億円に近い水準です。ただし、この期の増収には買収による店舗の増加と、前述した子会社2社の14か月連結が含まれます。買収を前提としない目標と、買収を含む実績を、そのまま並べることはできません。編集部としては、初年度の売上高が目標の水準に近づいたことは事実である一方、目標の達成として扱うことは避けました。

05

人物像

公開資料から読み取れる秋山氏の特徴を、3点に整理します。

1つ目は、言葉を大きくしていないことです。2期の赤字の後に出した計画の名称は「足場を固め、さらなる飛躍へ」で、初年度について本人が書いたのは「足場固めの期間にしたい」でした。同じ株主通信で、環境については次のように書いています。

この環境の変化に対応していくためには、私たち自身が内部から変化していかなければいけないと考えております。

2つ目は、掲げた数字を期中に動かしていないことです。2025年6月25日に公表した初年度の業績予想は、第1四半期から第3四半期まで修正されていません。同社は期初の数字のまま1年を終え、期末に予想と実績の差異を開示しています。

3つ目は、買収先の経営を自分で引き受けていることです。2024年1月のGOOD AIDのグループ入りと同時に、同社の代表取締役社長に就任しました。新しい計画で最大の課題に置かれているのが買収後の統合であることを踏まえると、その現場に自ら入る形の関与になります。

なお、最新の株主通信(2026年8月28日)で、秋山氏は次の期の環境について厳しい見方を示しています。

本年4月(薬価)及び6月(診療報酬本体)の診療報酬改定が想定を超えて厳しい内容となりました。今後も政府の医療費抑制政策が続くものと思われ、見通しが付け難い情勢となっております。

同時に、その改定を機会としても捉えています。

また、この改定を契機として業界再編の動きが一層加速するものと考えられます。一方で、当社グループにとっては、これまで推進してきたM&A戦略や地域密着の強みを活かせる機会でもあり、中長期的な成長を後押しする追い風になるものと考えております。

06

編集部総評

秋山氏が「足場固めの期間にしたい」と書いた1年で、収益力は戻りました。営業利益は2億9,300万円から9億7,900万円へ、当期純利益は3期ぶりの黒字へ。事業の中心である調剤薬局事業の営業利益も5億7,800万円から13億8,600万円へ戻っています。会社自身が挙げた要因は、店舗の寄与と本部業務の効率化による販管費の低減でした。

編集部が確認したのは、期初に掲げた数字が期中に修正されなかったことです。新しい計画と初年度の業績予想を同じ日に出し、四半期ごとの短信では修正がなく、期末に「予想と実績の差異」が開示されました。差異の理由は、売上が上回った要因も利益が届かなかった要因も、会社の言葉で分解されています。編集部がこの記事で因果を推測せずに書けたのは、その開示があったためです。

そして、編集部が最も丁寧に読んだのは、売上高が計画を超えた理由でした。超過分には、処方せん単価が計画を上回ったことと、子会社2社の決算期変更による14か月連結が含まれます。計画が増やそうとしていた処方せんの枚数そのものは、計画を下回っていました。同社が「M&Aを前提としないオーガニックでの目標値」と注記した700億円と、買収を含む695億1,200万円は、性質の違う数字です。

編集部では、この1年を「収益力が戻った年であり、同時に目標の測り方が問われる年でもあった」と考えました。

今後の焦点として読み取れる点

中期経営計画の最終年度である2028年5月期の目標は、営業利益16億円です。2026年5月期の実績は9億7,900万円で、目標までは6億円あまりの距離があります。

会社が示した次の期(2027年5月期)の計画は、次のとおりです。

項目2026年5月期 実績2027年5月期 計画増減率
売上高695億1,200万円706億400万円1.6%
営業利益9億7,900万円10億1,400万円3.5%
経常利益7億1,500万円7億3,600万円2.9%
親会社株主に帰属する当期純利益1億1,400万円1,100万円△90.0%

※令和8年5月期決算説明資料(2026年7月9日)19ページの記載に基づきます。

編集部が焦点として読み取ったのは、次の3点です。

1点目は、目標までの伸びが後半に集まっていることです。次の期の営業利益の計画は10億1,400万円で、最終年度の16億円との差は6億円ほど残ります。計画の資料では2025年6月から2028年5月まで(第40期から第42期)を「収穫期」と位置づけ、その後を「営業利益率向上と売上規模800億円より上を目指していく」段階としています。

2点目は、制度改定への対応です。秋山氏は2026年4月の薬価改定と6月の診療報酬改定を「想定を超えて厳しい内容」と表現しています。前の計画では、期間中に導入された300店舗以上のチェーンを対象とする報酬引き下げが、利益水準の低下要因として挙げられていました。制度の変化を計画にどう織り込むかは、この会社では繰り返し現れる論点です。

3点目は、買収の費用と効果の時間差です。2026年5月期は、買収による店舗の寄与が増収と増益に働き、同時に買収関連費用と資金調達に伴う金融費用が利益を押し下げました。統合作業(PMI)の完遂を課題に挙げている同社にとって、買収の効果が定着し関連費用が落ち着くかどうかは、利益の目標への進み方を見るうえでの焦点の一つになります。

なお、2026年5月期のROICについては、会社が公表した実績値を今回参照した資料では確認できませんでした。計画の目標である4.5%に対する進捗は、本記事では判定していません。

参考情報

  • ファーマライズホールディングス株式会社「第40期有価証券報告書」(2026年8月20日提出)
  • 同「第37期有価証券報告書」(2023年8月31日提出)
  • 同「令和8年5月期通期連結業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」(2026年6月25日)
  • 同「令和8年5月期 決算説明資料(アナリスト向け)」(2026年7月9日)
  • 同「中期経営計画 Make a Leap 2027 足場を固め、さらなる飛躍へ」(2025年6月25日)
  • 同「株主通信 令和8年5月期」(2026年8月28日)
  • 同「株主通信 令和7年5月期」(2025年8月22日)
  • 同「令和8年5月期 第1四半期・中間期・第3四半期 決算短信」(2025年9月25日/2025年12月25日/2026年3月19日)
  • 同 公式サイト「基本情報」「代表メッセージ」「沿革」
  • 上場企業役員データベース(氏名の読みの確認)

本記事は公開情報をもとにLeaders Journal編集部が独自に分析・編集したものです。

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