本庄 大介株式会社伊藤園 代表取締役社長
LEADER 024
LEADER PROFILE

本庄 大介

Daisuke Honjo
株式会社伊藤園
代表取締役社長

海外が、計画より1年早かった。

本庄 大介

概要

株式会社伊藤園の代表取締役社長、本庄大介氏。2009年5月に社長へ就き、在任は17年4か月にあたる。

同社が2022年6月に公表した中長期経営計画には、4つの定量目標が置かれていた。営業利益率、ROE、総還元性向、そして海外売上比率である。海外については、2025年4月期に11%以上、2027年4月期に12%以上という水準が示されていた。

結果を先に書くと、海外売上比率は2025年4月期に11.89%となり、その年度の目標を上回った。さらに2026年4月期は14.45%で、2027年4月期に置かれていた12%以上という水準を、1年早く超えている(いずれも有価証券報告書の地域別売上高から編集部が算出)。

海外売上高の伸びは1年で28.0%、米国だけで見ると29.8%にあたる。収益性については地域別の開示がないが、本庄氏は署名入りのメッセージでこう書いている。

2025年4月期には海外事業の収益性が大きく改善し、特に米国事業においては、「お~いお茶」ブランドの販売強化により高い収益性を実現しています。

ここに、この記事が扱う構造がある。2027年4月期の12%以上という目標は、それが達成される前に、計画ごと置き換えられていた。2024年6月、同社は対象期間を2029年4月期までとする新しい中期経営計画を発表し、その定量目標の表から「海外売上比率」という指標そのものが消えている。

編集部が注目したのは、達成された指標の測り方が、達成される前に変わっていたという点である。海外という方向は新しい計画にも「海外8%以上(為替影響除く)」という形で残っているが、比率で測る指標そのものはなくなった。営業利益率とROEは引き継がれ、目標年度は2029年4月期へ移っている。

海外が、計画より1年早かった。これが編集部の読みである。

COMPANY
株式会社伊藤園
SALES
4,978億7,700万円
EMPLOYEES
7,945名
PRESIDENT SINCE
2009年5月
01

経歴

有価証券報告書(第61期・2026年7月21日提出)の「役員の状況」に記載された略歴は次のとおり。

時期役職
1987年4月当社入社
1990年7月取締役
1997年5月常務取締役
2000年5月専務取締役
2002年7月代表取締役副社長
2009年5月代表取締役社長(現)
2015年2月Distant Lands Trading Co. Chairman of the Board
2019年5月執行役員(現)

生年月日は1963年10月7日。所有株式数は普通株式1,185,560株、第1種優先株式216,870株である。

編集部が略歴から読み取ったのは、取締役としての期間が長いという点である。入社3年後の1990年に取締役、15年後の2002年に代表取締役副社長、22年後の2009年に社長へ就いている。社長としての在任は17年4か月で、本記事を含め編集部が取り上げた24名の中で最も長い。

同社の取締役には本庄姓の役員が複数名いる。有価証券報告書の注記には「取締役Yosuke Jay Oceanbright Honjo氏は代表取締役社長本庄大介氏の実弟であります。また、代表取締役副社長本庄周介氏は取締役名誉会長本庄八郎氏の長男であります」と記されている。取締役名誉会長の本庄八郎氏は1988年5月から2009年5月まで代表取締役社長を務め、その後2024年5月まで代表取締役会長だった。

02

会社データ

項目内容
社名株式会社伊藤園(ITO EN, LTD.)
証券コード2593(東京証券取引所 プライム市場)
決算期4月30日
業種食料品
従業員数連結7,945名(2026年4月30日現在・平均臨時雇用者872名は外数)
売上高4,978億77百万円(2026年4月期・連結)
営業利益216億84百万円(同)
経常利益232億67百万円(同)
親会社株主に帰属する当期純利益34億66百万円(同)
自己資本利益率(ROE)2.0%(同)

同社の決算期は4月30日である。本記事の「2026年4月期」は2025年5月1日から2026年4月30日までを指す。

事業はリーフ・ドリンク関連事業、飲食関連事業、その他の3つに分かれる。2026年4月期の内訳は、リーフ・ドリンク関連事業が売上高4,434億43百万円(前期比5.5%増)・営業利益175億円、飲食関連事業が売上高464億95百万円(同6.2%増)・営業利益35億55百万円である。飲食関連事業はスペシャリティコーヒーショップ「タリーズコーヒー」で、2026年4月末の総店舗数は850店舗(前期末比32店舗増)となっている。

03

人物の軌跡

答え合わせ①:2022年6月の計画には、4つの目標が置かれていた

2022年6月に公表された中長期経営計画の定量目標は、第58期(2023年4月期)の有価証券報告書に表として掲載されている。

指標2023年4月期 実績2025年4月期 目標値2027年4月期 目標値
営業利益率4.5%6%7%
自己資本利益率(ROE)7.8%10%以上10%以上
総還元性向40.1%40%維持40%維持
海外売上比率11%11%以上12%以上

対象期間は2027年4月期までで、途中の2025年4月期にも目標値が置かれている点が特徴である。4指標のうち3つは収益性と株主還元に関するもので、事業の方向を示しているのは海外売上比率だけである。

答え合わせ②:海外売上比率は、2025年4月期の目標を上回った

🔑以下は、2024年6月に置き換えられた計画(2022年6月公表)の目標との突き合わせである。現在の目標は答え合わせ③に記した2029年4月期のものになる。

同社は有価証券報告書に「地域ごとの情報」として、顧客の所在地を基礎とした売上高を日本・米国・その他に分けて開示している。編集部はこれをもとに海外売上比率を算出した。

決算期日本米国その他合計海外計海外売上比率
2023年4月期3,822億82百万円439億49百万円54億42百万円4,316億74百万円493億91百万円11.44%
2024年4月期4,026億64百万円450億16百万円62億18百万円4,538億99百万円512億34百万円11.29%
2025年4月期4,165億5百万円495億23百万円66億87百万円4,727億16百万円562億10百万円11.89%
2026年4月期4,259億38百万円642億91百万円76億47百万円4,978億77百万円719億38百万円14.45%

※有価証券報告書の「地域ごとの情報(売上高)」から編集部が算出した。会社が2023年4月期について開示している海外売上比率は11%で、編集部の計算値11.44%と整合する。

2025年4月期の11.89%は、同年度の目標「11%以上」を上回っている。

そして2026年4月期の14.45%は、2027年4月期の目標として置かれていた12%以上という水準を、1年早く超えている。海外売上高は1年で28.0%増え、米国だけで見ると29.8%の伸びだった。

答え合わせ③:その水準を超える前に、測り方が変わっていた

2024年6月、同社は対象期間を2029年4月期までとする新しい中期経営計画を発表した。第59期(2024年4月期)以降の有価証券報告書に掲載されている定量目標は次のとおりである。

指標2024年4月期 実績2029年4月期 目標値
連結売上高4,538億円年平均伸長率2%以上(海外8%以上 ※為替影響除く)
営業利益率5.5%8%以上
自己資本利益率(ROE)8.9%10%以上
総還元性向52.7%40%以上

「海外売上比率」という指標名が、この表からなくなっている。代わりに連結売上高の内訳として「海外8%以上」という伸長率の目標が置かれた。海外という方向は残り、測り方が比率から伸長率に変わったことになる。

営業利益率とROEは新しい計画にも引き継がれた。営業利益率の水準は7%(2027年4月期)から8%以上(2029年4月期)へ上がり、ROEは10%以上のまま目標年度が2年先へ移っている。

つまり、2026年4月期に12%以上を超えた海外売上比率は、その時点では目標として置かれていなかった。編集部が確認できた範囲では、同社は2025年4月期以降の海外売上比率を数値として開示していない。

答え合わせ④:2022年6月の計画が2025年4月期に置いた水準には、営業利益率とROEは届いていない

2025年4月期の実績を、2022年6月の計画が同年度に置いた目標と並べると次のようになる。この目標も2024年6月の差し替えによって、達成年度を迎える前に置き換えられている。現行の目標は営業利益率8%以上・ROE10%以上(いずれも2029年4月期)である。

指標2025年4月期の目標2025年4月期の実績
海外売上比率11%以上11.89%(編集部計算)
営業利益率6%4.9%
ROE10%以上8.0%
総還元性向40%維持—(判定していない・下記参照)

※営業利益率・ROEは各期の有価証券報告書に記載された会社開示の数値による。

営業利益率は、編集部が有価証券報告書の営業利益229億69百万円を売上高4,727億16百万円で割って4.86%となり、会社開示の4.9%と一致することを確認した。2026年4月期も同様に4.36%で、会社開示の4.4%と一致している。

ROEは2022年4月期から順に8.2%、7.8%、8.9%、8.0%、2.0%と推移している。目標として置かれた10%以上に達した期は、この5期の中にはない。

なお総還元性向については、会社が2025年4月期の実績として144.0%を開示しているが、編集部が有価証券報告書の数値からこの値を再現できなかった。配当金の支払額54億74百万円と自己株式の取得5百万円を連結の当期純利益141億56百万円で割っても38.7%、単体の当期純利益116億67百万円で割っても47.0%にとどまる。算出方法が確認できないため、本記事ではこの指標の達成・未達を判定していない。

答え合わせ⑤:売上高は5期続けて増えている

決算期売上高経常利益親会社株主に帰属する当期純利益ROE
2022年4月期4,007億69百万円199億71百万円129億28百万円8.2%
2023年4月期4,316億74百万円203億41百万円128億88百万円7.8%
2024年4月期4,538億99百万円266億81百万円156億50百万円8.9%
2025年4月期4,727億16百万円229億73百万円141億56百万円8.0%
2026年4月期4,978億77百万円232億67百万円34億66百万円2.0%

売上高は5期続けて増加し、2026年4月期は4,978億77百万円(前期比5.3%増)となった。2022年4月期の1.24倍にあたる。経常利益もこの期は232億67百万円で前期比1.3%の増益である。

一方、親会社株主に帰属する当期純利益は34億66百万円で前期比75.5%の減少となった。有価証券報告書はその理由を次のように記している。

中でも自動販売機事業については販売数量の減少に伴う収益性の低下が認められたことから、当連結会計年度において減損損失を計上しており、親会社株主に帰属する当期純利益は大幅な減益となりました。

この期の減損損失は連結で148億83百万円である。有価証券報告書のセグメント別の内訳は、リーフ・ドリンク関連事業139億83百万円、飲食関連事業9億円で、自動販売機事業はリーフ・ドリンク関連事業に含まれる(自動販売機事業だけの金額は開示されていない)。ROEが2.0%となったのはこの影響による。自動販売機事業については、同社の子会社であるネオス株式会社(2026年5月1日付で株式会社伊藤園ネオスに商号変更)へ事業を承継したことが有価証券報告書に記されている。

答え合わせ⑥:本人の言葉は、海外と構造改革に向いている

本庄氏名義のメッセージは同社の公式サイトに掲載されている。ページの写真には「株式会社伊藤園 代表取締役社長 執行役員」という表記と直筆の署名が入っており、画像の説明文にも「代表取締役社長本庄大介の署名画像」と記されている。編集部はこれをもって本人名義の文章として扱った。

海外事業について、本庄氏はこう書いている。

『「お~いお茶」のグローバル化』を図る海外事業は、今後さらなる成長を見込んでいます。2025年4月期には海外事業の収益性が大きく改善し、特に米国事業においては、「お~いお茶」ブランドの販売強化により高い収益性を実現しています。海外での緑茶・抹茶の先駆者として売り場でのリーダーシップを発揮する一方、販売網や製品供給体制の強化を進めることで、規模拡大と収益性の両立を目指しています。

国内については、自身が直接みる体制をつくったことを書いている。

海外事業の成長を支える基盤として、『国内既存事業の盤石化』に向けた構造改革にも本格的に取組んでいます。改めてすべてのコストの見直しに着手し、代表的な取組みとしてサプライチェーン全体の最適化を進めています。2026年4月期からは私の直轄でサプライチェーン戦略部を新設し、製品の企画・開発、原料調達から販売までを俯瞰した本格的な構造改革に取組んでいます。

新しい事業については抹茶を挙げている。

また、『新たな事業の創出』においては特に抹茶に注力し、事業領域の拡大を目指しています。世界的な抹茶ブームは、当社にとって大きな市場機会となっています。

そして計画全体について、次のように書いている。

現在、世界は激動の時代にあります。急激なインフレ、AI技術の発展など、私たちを取り巻く環境は劇的に変化しています。このような急激な変化の中で、2024年に発表した5カ年の中期経営計画の遂行とともに、当社グループ全員に対して「意識や行動の変革・改革」の必要性を強く伝え、100年企業としての歩みをスタートさせています。

伊藤園グループは創業60年を迎え、国内・海外に計46社(2025年4月末時点)となりました。現在、創業以来の大きな変革・改革期にあります。現・中期経営計画を通じてグローバル化とスピード感を持った国内構造改革により、持続的な成長への基盤を固めていきます。

🔑編集部が確認した範囲では、本庄氏名義の文章に「ROE」「営業利益率」という語は出てこない。数値目標は会社の計画として示され、本人の文章は事業の方向と体制について書かれている。

04

経営哲学

目標に使う指標を入れ替えている

2022年6月の計画と2024年6月の計画を並べると、営業利益率とROEは引き継がれ、海外売上比率は消え、連結売上高の伸長率が加わっている。指標の数は4つのまま、中身が入れ替わった。

指標の水準も動いている。営業利益率は7%(2027年4月期)から8%以上(2029年4月期)へ上がり、目標年度は2年先へ移った。

経営理念を、言葉のまま引き継いでいる

本庄氏の文章は、創業以来の経営理念から始まる。

伊藤園グループは創業以来、経営理念「お客様第一主義」のもと、すべてのお客様に対して「今でもなお、お客様は何を不満に思っているか」を常に考えるSTILL NOWの精神で事業活動を行ってまいりました。

有価証券報告書の「経営方針」にも、同じ理念が「全社員が『STILL NOW(今でもなお、お客様は何を不満に思っているか)』の精神を持ち」という形で記されている。社長の文章と有価証券報告書で、同じ言葉が使われている。

自分の直轄に置く

構造改革について、本庄氏は「2026年4月期からは私の直轄でサプライチェーン戦略部を新設し」と書いている。組織の話に一人称が出てくるのは、この箇所である。

祖業から説明する

私たちの祖業はお茶屋です。お茶のリーディングカンパニーとして、「お~いお茶」ブランドを通じて、日本文化の緑茶・抹茶を世界に広め次世代に継承することは、当社グループの使命だと考えます。

海外展開の説明が、市場規模や成長率ではなく祖業から始まっている。

05

人物像

リーダーシップタイプ

長い在任のなかで、事業の方向を1つに絞って言い続ける型。

社長としての在任は17年4か月にあたる。編集部が確認した2022年以降の2つの計画では、事業の方向を示す指標はいずれも海外だった。2022年6月の計画では「海外売上比率」が定量目標に置かれ、2024年6月の計画では「お~いお茶のグローバル化」が5つの重点戦略の1つに挙げられている(有価証券報告書に「5つの重点戦略(お~いお茶のグローバル化、国内既存事業の盤石化、新たな事業の創出…)」と記載)。

本人の文章も、海外・国内の構造改革・抹茶という3点に集中している。数値目標そのものは会社の計画として示し、自身の言葉では事業の中身を書く、という書き分けが見られる。

強み・特徴(編集部分析)

特徴根拠
在任が長い2009年5月就任・17年4か月(編集部が取り上げた24名で最長)
取締役歴が長い1990年7月に取締役、2002年7月に代表取締役副社長
海外を事業の軸に置いている2022年6月の計画で海外売上比率を定量目標に設定。2024年6月の計画でも「お~いお茶のグローバル化」を5つの重点戦略の1つに(いずれも有価証券報告書の記載)
構造改革を自分の直轄に置いた「2026年4月期からは私の直轄でサプライチェーン戦略部を新設し」
理念を言葉のまま引き継いでいる「お客様第一主義」「STILL NOW」が本人の文章と有価証券報告書の双方に

発言・記載と実績の対応

時期発言・記載対応する実績
2022年6月中長期経営計画 海外売上比率 2025年4月期11%以上・2027年4月期12%以上2025年4月期11.89%/2026年4月期14.45%(編集部計算)
2022年6月営業利益率 2025年4月期6%2025年4月期4.9%
2024年6月新・中期経営計画(2029年4月期まで)。海外売上比率は目標の表から外れる2026年4月期の海外売上高は前期比28.0%増
公式サイト(署名あり)「2025年4月期には海外事業の収益性が大きく改善し」地域別の利益は有価証券報告書に開示がなく、収益性の改善は編集部が確認できていない。売上高で見ると2025年4月期は前期比9.7%増
公式サイト(署名あり)「2026年4月期からは私の直轄でサプライチェーン戦略部を新設し」有価証券報告書の役員一覧に「グループ経営推進部担当(現)、サプライチェーン戦略部担当(現)」の記載あり
06

編集部総評

本庄大介氏が2009年5月に社長へ就いてから17年4か月が経つ。その間、同社の売上高は増加を続け、2026年4月期は4,978億77百万円となった。2022年4月期の1.24倍にあたる。

2022年6月の中長期経営計画に置かれた4つの目標のうち、編集部が実績を突き合わせられたのは海外売上比率、営業利益率、ROEの3つである。このうち2025年4月期の目標を上回ったのは海外売上比率だった。11%以上に対して11.89%である。

そしてこの指標は、その後も伸び続けた。2026年4月期の14.45%は、同じ計画が2027年4月期に置いていた12%以上という水準を、1年早く超えている。海外売上高は1年で28.0%、米国だけで29.8%増えた。

ただし、その12%以上という目標は、達成される前に計画ごと置き換えられていた。2024年6月に発表された新しい中期経営計画の定量目標の表に、海外売上比率という指標はない。営業利益率とROEは引き継がれ、目標年度は2029年4月期へ移っている。

編集部が注目したのは、事業の方向を示す指標が、その方向で結果が出た時期に、比率から伸長率へ置き換わったという点である。海外という方向そのものは新しい計画にも「海外8%以上(為替影響除く)」として残っている。変わったのは測り方で、比率で見れば前の計画の最終年度の水準を1年早く超えていたが、その比率はもう目標として測られていない。

本庄氏自身の文章は、この間も一貫して海外に向いている。「お~いお茶のグローバル化」「海外での緑茶・抹茶の先駆者」「日本文化の緑茶・抹茶を世界に広め次世代に継承する」という言葉が並ぶ。数値目標を語る文章ではないが、向いている方向は数字の動きと重なっている。

2026年4月期は、自動販売機事業の減損損失148億83百万円により、親会社株主に帰属する当期純利益が34億66百万円となった。ROEは2.0%である。売上高と経常利益はいずれも前期を上回っており、この期の利益指標は減損の影響を大きく受けている。

今後の焦点として読み取れる点

1. 営業利益率8%以上への距離。2029年4月期の目標に対し、2026年4月期の実績は4.4%である。会社は国内の構造改革をその手段として挙げており、本庄氏は自身の直轄に置いたサプライチェーン戦略部を通じた取り組みを書いている

2. 海外の伸びが続くかどうか。2026年4月期の海外売上高は前期比28.0%増だった。ただしこれは編集部が地域別売上高から算出した為替影響を含む数値で、新しい計画の「海外8%以上」は為替影響を除いた伸長率であるため、直接は比べられない。会社が為替影響を除いた伸長率を開示するかどうかが確認点になる

3. 自動販売機事業の扱い。減損を計上した事業は子会社へ承継された。有価証券報告書には「柔軟な戦略遂行と収益基盤の確立を目指してまいります」と記されている

参考情報

出典

資料内容
有価証券報告書 第61期(2026年4月期・2026年7月21日提出)役員の状況、新・中期経営計画の定量目標、地域ごとの情報、減損損失
有価証券報告書 第60期(2025年4月期・2025年7月23日提出)2025年4月期の実績(営業利益率4.9%・ROE8.0%)、地域ごとの情報
有価証券報告書 第59期(2024年4月期・2024年7月29日提出)新・中期経営計画(2024年6月発表)の定量目標、地域ごとの情報
有価証券報告書 第58期(2023年4月期・2023年7月27日提出)中長期経営計画(2022年6月発表)の定量目標、地域ごとの情報
株式会社伊藤園 サステナビリティ トップメッセージ本庄氏名義(署名画像あり)のメッセージ
株式会社伊藤園 トップメッセージ同上

注記

  • 本記事の数値は、特記のない限り各期の有価証券報告書による
  • 海外売上比率は、有価証券報告書の「地域ごとの情報(売上高)」の米国とその他の合計を売上高合計で除して編集部が算出した。会社が2023年4月期について開示している11%と、編集部の計算値11.44%は整合する。2025年4月期以降の海外売上比率は会社が開示していない
  • 総還元性向は、編集部が有価証券報告書の数値から会社開示の値を再現できなかったため、達成・未達の判定をしていない
  • 2026年4月期の減損損失148億83百万円は連結の総額である。有価証券報告書のセグメント別の内訳はリーフ・ドリンク関連事業139億83百万円・飲食関連事業9億円で、自動販売機事業だけの金額は開示されていない
  • 本庄氏名義の文章は、公式サイトの写真に「株式会社伊藤園 代表取締役社長 執行役員」の表記と直筆の署名が入っていること、および画像の説明文に氏名が記されていることをもって本人名義と判断した。本文テキスト中に活字の署名はない
  • 同社には普通株式と第1種優先株式があるため、1株当たりの数値・配当・配当性向は本記事では用いていない
  • 決算期は4月30日である。「2026年4月期」は2025年5月1日から2026年4月30日までを指す
  • 新しい中期経営計画の「海外8%以上」は為替影響を除いた伸長率である。編集部が算出した海外売上高の伸び28.0%は為替影響を含むため、両者を直接比較していない